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相続登記が義務化!

2024.01.10

相続登記が義務化!具体的な内容と相続の基本を解説

相続登記は、相続が発生した際に不動産を法的に相続人のものとする手続きです。これまでは、相続登記をしなくとも罰則はありませんでしたが、2024年4月1日から義務化されます。それに伴い、相続登記をしない場合、罰金が科される可能性があるため、詳しい内容を確認しておくことが大切です。

本記事では、相続登記の義務化が始まる時期や内容、罰則、手続方法などについて詳しく解説します。

相続登記の義務化

相続登記は、2024年4月1日から義務化されます。

相続人が相続により不動産の所有権を取得した場合、その相続人は不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記の申請をしなければなりません。相続人が不動産の所有権を正式に自身のものとして登記簿に記載する手続きが相続登記です。

また、遺産分割協議が成立し、不動産が相続人に割り当てられた場合、その相続人は遺産分割協議が成立した日から3年以内に登記の申請をしなければなりません。

正当な理由がない場合に相続登記や遺産分割協議に基づく登記の申請を怠った場合、10万円以下の過料が科されることがあります。ただし、正当な理由がある場合にはこの過料が科されないことがあります。

正当な理由の例は以下のとおりです。

  • 相続人が多く、戸籍謄本や他の相続人の把握に時間を要する
  • 遺言の有効性や遺産の範囲について争いがある
  • 申請を負う相続人自身に重病などの事情がある

正当な理由に当てはまるかどうかは自己判断できないため、相続登記ができない事情がある場合は税務署に問い合わせましょう。

相続登記の義務化の背景

続いて、相続登記が義務化に至った背景について詳しく見ていきましょう。

不動産の放置による荒廃の防止

所有者が亡くなり、相続登記が行われない場合、不動産が放置されることになります。不動産はメンテナンスしなければ品質が低下するため、誰かが責任を持って維持管理する必要があります。建物に限らず、土地においても雑草が生えっぱなしになることもあるでしょう。

相続登記が義務化されることで、不動産の適切な管理が促され、品質低下による経済的な損失の防止につながります。

相続の透明性の確保

相続登記が行われないと、不動産の所有権移転や相続に関する情報が不透明となります。例えば、3つの不動産を相続した場合において1つのみ登記すると、他の2つも登記済と思い込んで手続を進めるケースがあります。

手続の際に気づいても、どれが登記されていてどれがされていないのかを調べるのに手間と時間がかかるでしょう。結果的に相続人の負担が増加することにつながるため、相続登記は確実に行うことが重要です。

相続登記を放置されることが多い理由

国土交通省の「所有者不明土地の実態把握の状況について」によると、全体の約20%の土地は登記簿だけでは所有者がわからないそうです。約5人に1人が相続登記を放置していることには、次のような理由が考えられます。

出典:「所有者不明土地の実態把握の状況について」

手続きが煩雑

相続登記には必要書類が多く、これらを収集するために複数の役所や機関を訪れる必要があります。戸籍謄本や相続証明書、不動産の登記簿謄本など、さまざまな文書が必要です。相続登記の申請書は正確に作成する必要があります。誤った情報や書式の不備があると手続きが遅延したり、不備があると戻されることがあります。

相続登記手続きには法務局への訪問が必要です。法務局へ足を運ぶための時間と労力がかかります。また、法務局での対応には専門的な知識が必要です。申請書類の不備や手続きの遅延があると、登記が完了するまでに時間がかかることがあります。これは相続財産の運用や分割に影響を及ぼす可能性があります。

費用がかかる

登録免許税: 相続登記の際に支払う税金で、不動産の評価額に基づいて計算されます。一般的には不動産の評価額の1000分の4(0.4%)が登録免許税として課されます。ただし、土地信託の場合は1000分の3(0.3%)となります。

証明書発行手数料: 相続登記に必要な証明書や書類の発行に伴う手数料がかかります。例えば、戸籍謄本や不動産の登記簿謄本、相続証明書などが該当します。これらの手数料は役所や機関に支払う必要があります。

専門家の報酬: 相続登記手続きを専門家に依頼した場合、彼らの報酬がかかります。専門家には司法書士や弁護士、税理士などが含まれます。報酬の金額は専門家や手続きの複雑さによって異なり、一般的には相続財産の評価額に応じて計算されます。一般的な相場としては、評価額が1億円以下の部分に対して1%、それ以上の部分に対して0.5%が報酬とされることがあります。

相続人全員が関与する必要がある

遺言書が存在しない場合、不動産の取得者を遺産分割協議で決定する際に相続人全員の合意を得ることは重要です。しかし、相続人の数が多く、関係が複雑であったり、相互に連絡が取りにくい場合、合意を得ることが難しいことがあります。また、相続人間での意見の対立や協力不足がある場合、相続登記手続きを円滑に進めることが難しいこともあります。

相続登記手続きは、全ての相続人が協力し合い、必要な書類を提出し、手続きを完了させる必要があります。特に不動産が絡む場合、詳細な情報と合意が必要です。相続人間で財産の分割に関して意見の対立がある場合、合意形成が難しく、長期化する可能性があります。

相続登記をしないとどうなる?

相続登記をしなかった場合の罰則については以下のとおりです。

  • 相続、遺贈による不動産取得を知った日から3年以内に登記しない場合は10万円以下の過料の対象
  • 住所や氏名の変更をした場合、変更の日から2年以内に登記をしないと、5万円以下の過料の対象
  • 法改正以前に相続や住所変更が発生した不動産については、法改正の施行日から3年以内に登記をしないと過料の対象
  • 相続人申告登記や法定相続分による登記が完了した後、遺産分割協議がまとまった場合、協議成立日から3年以内に登記や名義変更を行わないと、10万円以下の過料の対象

なお、相続発生から3年以内に遺産分割協議が成立しなかった場合は、法改正によって新設される「相続人申告登記」を行えば、罰則を科されることはありません。

相続登記をしない問題点

相続登記は、不動産の所有者が亡くなった際に、その不動産の所有権を相続人に正式に移転させる手続きです。相続登記を怠ると、不動産の所有者情報が最新でないため、売却ができなくなる恐れがあります。

遺産分割協議が難航する

遺産分割協議は、故人の遺産を相続人全員でどのように分けるかについて話し合うことです。時間が経過するにつれてますます複雑になる可能性があります。

たとえば、父親の不動産の相続人が母親と長男、次男の場合に相続登記をせずに放置すると、次男が亡くなった際にその妻と子供も相続人になります。遺産分割協議は全員の合意がなければ成立しないため、協議が難航するでしょう。

相続した不動産を差し押さえられる可能性がある

遺産分割協議によって不動産の所有権が相続人に譲渡された場合でも、相続登記を怠ると、その不動産が債権者によって差し押さえられ、最終的には不動産の所有権を失う可能性があります。

例えば、不動産を協働で相続した相続人2人のうち1人に借金があるとしましょう。借金を返済しない場合、裁判手続を経て不動産を差し押さえられる可能性があります。この場合、借金がない相続人の所有分も差し押さえられるため、相続人同士で大きなトラブルになることも否定できません。

不動産を売却できなくなる

相続登記を進めるには、関係者の戸籍謄本や住民票の除票などの書類が必要です。しかし、相続登記の手続きを放置して時間が経過するほど、これらの必要書類を取得することが難しくなる場合があります。これは、公的書類には保存期限が定められており、期限を過ぎると書類が廃棄されてしまうためです。

たとえば、死亡者の住民票の除票は通常5年間保存されることが一般的です。この保存期限を過ぎると、必要書類を揃えられなくなる可能性があります。

相続登記手続きの流れ

相続登記の必要性を理解したうえで、適切に手続をすることが大切です。相続登記の手続は専門家のサポートを受けることで時間と手間を大幅に削減できます。手続の流れについて詳しく見ていきましょう。

STEP1. 相続財産を特定する

最初に相続登記の対象となる不動産を特定します。固定資産税の納税通知書に添付されている固定資産税課税明細書を確認する方法があります。また、課税明細書が手元にない場合、各市区町村役場で不動産の名寄帳を請求し、不動産の詳細情報を確認しましょう。

STEP2. 登記簿謄本を用意する

登記簿謄本は法務局から取得します。取得方法は、法務局の窓口に直接行くか、郵送で請求するか、インターネットを利用して請求するかのいずれかです。

STEP3. 被相続人の戸籍などを集める

被相続人の死亡や相続人の証明のため、以下2つの書類を揃えます。

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、除籍、原戸籍など
  • 被相続人の住民票の除票

STEP4. 遺産分割協議を行う

遺言書がない場合、遺産分割協議が必要です。相続人が誰であるかを確定し、全員で遺産の相続割合や相続するものなどを取り決めます。

全員の合意のもとで遺産分割協議書を作成し、その内容に基づいて財産分配を行います。ここで特定の人物が理不尽な要求をするようなケースでは、遺産分割協議が長期化します。場合によっては調停を行い、それでも合意に至らなければ裁判所の判断によって遺産分割の内容が決まる流れです。

STEP5. 登録免許税の計算する

相続登記には登録免許税が課税されます。税額は課税標準と税率に基づいて計算されます。相続の場合の税率は、不動産価額の1,000分の4です。登録免許税の額を満たす収入印紙を申請書に貼り付けて提出します。

STEP6. 登記申請書を作成する

必要書類を収集し、登記申請書を作成します。法務局が申請書の様式や記載例を提供しているので活用しましょう。登記申請は不動産の所在地を管轄する法務局で行います。また、複数の不動産が異なる地域にある場合でも、各地の法務局に申請書を提出する必要があります。

STEP7. 管轄の法務局へ申請する

申請書と必要書類が揃ったら、管轄の法務局へ申請を行います。申請方法は窓口と郵送の2つの選択肢がありますが、郵送の方が手間がかからないためおすすめです。ただし、申請書に不備がある場合、法務局から連絡が来て修正を指示されることがあります。その場合、不足分を追加で郵送するか、法務局の窓口にて原本の訂正が必要になる場合があるため、注意が必要です。

相続登記については手続が煩雑なうえに必要書類の取得方法も難しいため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

まとめ相続登記が義務化!具体的な内容と相続の基本を解説

相続登記の義務化により、一定期間以内に相続登記をしなければ過料が科される恐れがあります。相続登記を行わない場合、不動産を売却できなくなったり遺産分割協議が進まなくなったりする恐れがあるため、義務化が開始する以前に発生した相続においても速やかに手続をしましょう。

コラムニスト横山 優一

有活営業部の横山優一です。

趣味は、安室奈美恵のライブ観戦と、友達の道具で行う手ぶらキャンプです。
用意する物がなくとても楽しめます!

仕事も遊びも全力で頑張ります!

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