狭い土地を相続、購入した際、どのように活用すべきか迷う方が多いのではないでしょうか。活用方法が思い浮かばず、放置してしまうと、固定資産税や管理費などがかかる一方です。投資に活用することで、固定資産税や管理費よりも多くの利益を得られる可能性があります。ここでは、狭い土地の活用方法をお伝えするとともに、活用方法の選び方から成功のポイントまで詳しくご紹介します。
そもそも、狭い土地とはどの程度の広さを指すのでしょうか。地域性にもよりますが一般的には、5~30坪程度の土地を「狭小地」といいます。このような土地は、購入よりは遺産分割によって生じるケースが多く、その活用方法に悩む方が後を絶ちません。また、遺産分割の方法によっては、周りが建物に囲まれている日当たりが悪くアクセスしづらい場所に狭小地が生じます。
土地の形状によっては活用できるため、諦めることはありません。駅前や人通りが多い大通り沿いなどの狭小地も、活用できる見込みがあるでしょう。まずは土地活用の専門家に相談することをおすすめします。
狭い土地を活用することには、次のメリットがあります。
狭い土地に建物を建てる場合、広い土地に建てる場合と比べて投資額を抑えられます。投資額が少なくなればなるほどに、活用に失敗した際のリスクを低減できます。そのため、狭小地の活用は、リスクを抑えたい方や不動産投資の初心者におすすめです。
投資額が少なくなれば、それだけ借入金額を抑えることができます。そのため、キャッシュフローを良好に保ちやすいでしょう。キャッシュフローとは、土地活用で得た収益から経費を差し引いて最終的に残った手取りのことです。金融機関から借り入れる場合、月々の返済によって手取りが少なくなります。
借入金額が少なくなればなるほどに月々の返済額も少なくなるため、狭小地の活用はキャッシュフローを良好に保ちやすいのです。
狭小地の活用は低コスト・低リスクで行える一方で、次のデメリットがあります。
土地活用は、建物や土地面積の規模が大きくなればなるほどに、収益が大きくなる傾向があります。例えば、6戸のアパートと30戸のマンションの収益は、家賃が同額であれば単純計算で約5倍もの差が生じます。
また、狭小地は建物の設計が難しく、駐輪場のように利便性に繋がる設備の設置が困難なため、空室リスクも高まります。このように諸条件が悪い物件は、家賃を相場よりも安く設定せざるを得なくなり、収益が少なくなりがちです。
ただ、収益が少なくても、大きく儲けることが目的ではない場合、大きな問題にはならないでしょう。
狭小地の活用方法は限られるため、考え方や価値観、目的などに合った方法を選べない可能性があります。例えば、賃貸マンションやホテル、オフィスビル、高齢者施設などに活用するには、広くなくてはなりません。狭小地を活用する際は、選択肢を確認したうえで、その中でどのように活用できるのかを十分に考慮する必要があります。
立地、土地の形状、競合となる施設や建物などを調査して、ベストな活用方法を選択しましょう。
狭小地は広い土地と比べると建築費は安くなる傾向がありますが、得られる収益も少ないため、多額の利益を得ることは難しいでしょう。また、土地面積に対して建築費が割高になる可能性があります。例えば、土地が狭くて規格品を使用できない場合、オーダーメイドの設計となるため、建築費が高くなるでしょう。
また、土地面積の狭さをカバーするために4階以上の建物を建設する場合、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造となり、より多くの建築費がかかります。建築費が高くなると、それだけ多くの借り入れが必要になり、キャッシュフローが悪化する可能性も否定できません。
そのため、狭小地を活用する際は、建築費が高くなりすぎないかどうか事前の確認が必要です。予算オーバー、借入金が高くなりすぎる場合は、他の選択肢も検討しましょう。
狭い土地の活用方法を選ぶ際は、それぞれの特徴やメリット・デメリットの確認が必要です。狭い土地の活用方法について詳しく見ていきましょう。
戸建て賃貸は、アパートやマンションと比べて必要な土地面積が狭いため、狭小地でも選択しやすいでしょう。また、戸建ては需要に対して供給量が少なく、競争率が低い傾向にあります。例えば、小さな子どもがいるファミリー層は、騒音の観点から戸建てを求める傾向があり、高い需要が見込めます。
そのため、床面積が小さめの戸建てでも、空室リスクは低いと言えるでしょう。
また、アパートのように複数戸がないため収益性が低いと思われがちですが、建築費を抑えられるためキャッシュフローは良い傾向があります。
戸建て賃貸を検討する際に知っておきたいのが、戸建て賃貸に住んでいた人が土地と建物の購入を申し出てくるケースがあることです。狭小地の管理や活用に悩んでいる場合は、売却するのもよいかもしれません。
狭小地はマンションに向かないことは事実ですが、自由設計であれば狭小地でも選択できる可能性があります。自由設計とは、土地の形状や面積に合わせて設計することです。一般的に、マンションの部屋は長方形ですが、狭小地の場合は土地の形状に合わせて作る必要があります。
マンションは戸建てと比べて収益性が高いことがメリットです。その一方で、建築費や大規模修繕費用が高くなりがちというデメリットがあります。入居者目線のメリットは、騒音の心配がアパートよりは少なく、小さな子どもがいる家庭に選ばれやすいことです。ただし、一戸建ての方が騒音問題に強いため、周辺に一戸建てが充実している場合は大きな需要は見込めないかもしれません。
敷地の形状次第では、アパートを選択できます。アパートはマンションと比べて建築費が安くなる傾向があるため、自己資金に余裕がない場合にも選択肢に含めることができます。ただし、マンションと比べて騒音トラブルが起こりやすいため、ファミリー向けではありません。また、間取りもワンルーム~2DK程度までが一般的です。周辺にアパートがどの程度あるか、単身世帯、あるいは2人世帯はどの程度住んでいるかなどを調査しましょう。
ガレージハウスとは、ガレージつきの戸建て住宅のことです。ガレージを併設しているタイプとは異なり、車庫と住居が一体になっています。車庫と住居を行き来できることが特徴です。ガレージなしの戸建て住宅と比べて価値が高くなるため、より多くの収益が期待できます。車好きの人に人気なため、近くサーキットや高速道路などがある場所に建てるのがおすすめです。
なお、重量鉄骨造で建てる場合が多く、建築費が高くなる傾向があります。賃料を高く設定できるため、キャッシュフローは決して悪くありません。
コインパーキングは、機械式の平面駐車場のことです。1台あたり2.5m×5.0mのスペースがあれば作ることができます。5.0mの幅が必要なのは、敷地内で切り返しするためです。1台分のスペースから作ることができるため、複雑な形状の土地の場合にも選択しやすいでしょう。
また、駐車場運営会社に土地を貸すことで、初期費用0円でコインパーキングを始められます。コインパーキングを選択するのであれば、競合や周辺環境について十分な調査が必要です。すでにコインパーキングがいくつもある場合は、十分な収益を得られない可能性が高いでしょう。また、駐車場がない商業施設が近くにある、車で来る人が多い割に駐車場が少ないなど、需要に対して供給が少ない要因を探してみてください。
また、周辺住民が増える見込みがある場合は、月極駐車場として活用するのもよいでしょう。台数と賃料によっては戸建て住宅よりも多くの収益が見込めます。
小規模店舗は、その名のとおり小規模の店舗のことです。小規模店舗に定義はありませんが、20坪以上もあれば美容室や飲食店、事務所などに利用できるでしょう。一般住宅よりも賃料を高く設定できるため、より多くの収益が見込めます。
ただし、飲食店や美容室などは競合の関係もあるので、小規模店舗に活用する際は事前の調査が必要です。また、閑静な住宅街の一角も飲食店や美容室の利用には向きません。事務所であれば問題ありませんが、駅から遠すぎるとニーズがなくなるでしょう。
シェアハウスは、複数人で住むことを前提とした戸建て住宅です。正しくは「寄宿舎」の扱いとなります。寄宿舎とは、玄関とキッチン、浴室、トイレなどが共用で、寝室のみ複数ある建物のことです。
1人あたりの管理費や共益費は通常の戸建て住宅よりも安くなりますが、賃料単価を高く設定できます。そのため、通常の戸建て住宅よりも収益性が高くなりやすいでしょう。
また、女性専用、ペット化、外国人可などの付加価値をつけることで、空室リスクを抑えられます。このように付加価値があるシェアハウスは、競合の物件が乱立しても価格競争に巻き込まれる心配がほとんどありません。
トランクルームとは、荷物置き場として貸し出す建物のことです。一般的な住宅とは異なり、コンテナに似た建物を建築します。10坪前後のトランクルームもあり、狭小地でも十分に建築できます。駅前のトランクルームはもちろん、駅から遠い場所に建築しても一定のニーズが見込めるため、立地が悪い狭小地におすすめです。
ただし、コンテナ型の建物を使用する場合、完成品をそのまま土地へ運び込むため、間口6m以上、前面道路の幅6m以上が必要です。
狭小地の活用方法を選ぶ際は、次の3つに注目しましょう。
土地の活用方法に応じて、維持管理にかかる労力とコストが異なります。自分で管理する場合は、マンションやアパートよりも一戸建てや小規模店舗、トランクルームなどの方が労力とコストを抑えられます。
管理会社に任せるのか、自分で管理するのであれば時間は作れるのかなど、十分に検討のうえで活用方法を選びましょう。
建築や地盤調査などにかかる初期費用を確認しましょう。初期費用が高くなればなるほどに借入金が高くなり、キャッシュフローが悪くなります。自己資金や借入可能額、土地活用で見込める利益、家計の状況などを踏まえて、土地活用の方法を選びましょう。
土地活用を選択する際は、法規制に問題がないかチェックしましょう。地域や土地の種類次第では、特定の活用方法を選択できない場合があります。例えば、農地からの転用には特別な手続きが必要です。そのほか、地域によっては建物の高さ制限や居住用の建物の建築制限があります。
その他、敷地内で建築可能な面積の割合を示す「建ぺい率」、敷地面積に対する利用可能な床面積の割合を示す「容積率」、前面道路の幅、防火・耐震などの規制も確認が必要です。その地域の土地活用に詳しい専門家に相談するとよいでしょう。
初期費用を抑えたい、キャッシュフローを良好に保ちたいといった希望条件を満たす土地活用の方法を選択したものの、その地域にニーズがなくて収益を十分に得られないケースがあります。例えば、近くに商業施設がない、コインパーキングが乱立している場合、コインパーキングを作っても十分な収益は得られないでしょう。
土地活用の方法を選ぶ際は、その地域にニーズがあるかどうか十分に考えることが大切です。
狭小地の土地活用を成功するために、次の2つを押さえましょう。
多額の収益を得る、ちょっとした副収入を得る、税金対策など、土地活用の目的を明確化しましょう。リスクを負ってでも多額の収益を得たい、税金対策するだけで十分、安定性を重視したいなど、希望も踏まえて土地活用の方法を選ぶことがポイントです。
年間の見込み収益、維持管理コスト、初期費用、節税の可否などを踏まえ、自身の希望の条件を満たす土地活用の方法を選びましょう。
土地活用に成功するには、プロのアドバイスを得ることは必須でしょう。特に、狭小地の土地活用には、多角的な分析と事前の調査が必要なため、知識や経験のない方が行うには難易度が高いと言えます。土地活用のプロに相談すれば、さまざまな条件や希望条件を踏まえて、ベストな方法を提案してくれるでしょう。また、土地活用の開始後に不安や悩みが生じた際にも相談できます。そのような意味でも、土地活用の方法を決める段階から相談して、信頼できるプロを見つけておくことをおすすめします。
狭い土地の活用方法は限られています。何かに活用できれば良いという考えでは、立地や形状、面積などに適さない方法を選択する恐れがあります。土地活用の目的や希望を明確化したうえで、土地活用のプロに相談しましょう。広島県にある日興トラストには、土地活用の専門家が在籍しております。狭小地の土地活用を検討される際は、お気軽にご相談ください。
㈱日興トラストの川原です。
日々、お客様の大切な土地の有効活用が出来るように頭を回転させております。
私生活では、空手の稽古もしくは海に出てSUPをしながら自然と戯れております。
人生一度きりですので仕事も遊びも本気で取り組み有意義なものにしたいです。