2022年は、新型コロナウイルスの感染拡大やロシアによるウクライナ進行などの影響で、建築資材が高騰しています。建築資材の高騰は、新築戸建て住宅や新築マンションなどの建築に影響を与えることは明白でしょう。それでは、賃貸住宅にはどのような影響を与えるのでしょうか。本記事では、賃貸住宅への資材高騰への影響を踏まえ、賃貸住宅の家賃設定について詳しく解説します。
2022年度、新型コロナウイルスの感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻の影響で、日本国内における建築資材が高騰しています。日本の住宅メーカーは、住宅建築に使用する木材の大部分を輸入しているため、世界の中でも特に大きな打撃を受けているのが現状です。
日本銀行が公開している木材・木製品・林産物の輸入物価指数によると、木材・木製品・林産物は2021年12月時点で前年同月比173%となっています。また、合板は167%、丸太は127%と、こちらも大きく上昇しました。
この流れは2022年も継続しており、収束の目処は立っていません。
それでは、なぜ建築資材が高騰しているのか詳しく見ていきましょう。
アメリカや中国などの大国において、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でリモートワークが推進されています。リモートワークは出社がない、あるいは頻度が少ないため、駅からのアクセスや会社への通勤のしやすさなどを考慮する必要がありません。
そのため、土地の値段が比較的安い郊外に新築住宅を建築する人が増加傾向にあります。また、住宅ローン政策が充実していることも新築住宅を購入が増えている理由の1つです。
このように、木材の受給が大国で増えていることから、日本の輸入材の価格も高騰しています。
2021年3月には、スエズ運河にてコンテナ船が座礁する事故が起こりました。さらに、コロナ禍におけるネットショッピングの需要増加の影響もあり、コンテナが世界的に不足しています。その結果、コンテナ1つあたりの利用料金が高騰し、日本の輸入材の輸送費用が高くなっているのです。このように、輸入材そのものとそれを運ぶコンテナの両方の価格が高騰しているため、日本は建築資材高騰の大きな影響を受けています。
コロナの影響で海外の労働者が減少し、木材の伐採の効率が低下しています。さらに、オーストラリアで起きた森林火災、カナダの害虫被害など、世界中で報道された大きな問題も木材の伐採数の減少に繋がっています。
輸入材の価格高騰を受けて、国内材に切り替える住宅メーカーも出てきています。しかし、木材は生産に数十年かかるため、急な需要の増加には対応できません。そのため、国内材への切り替えは根本的な問題解決にはなっておらず、収束の見通しも経っていないのが現状です。
資材高騰の影響で、新築住宅の価格上昇と工期遅れが起きています。価格上昇の程度は住宅メーカーや住宅の性質などで異なりますが、100万円以上も上昇しているケースが少なくありません。そして、輸入材の確保が遅れることで工期にも遅れが生じます。
着工が遅れるとスケジュールが後に押してしまい、住宅メーカーが引き受けられる建築数が減少します。そうすると、1件あたりの費用を引き上げる必要が生じるため、住宅購入価格がどうしても上昇するのです。
資材が高騰している現在においては、賃貸住宅の需要が高まっています。また、中古住宅にも注目が集まっており、これらを経営・販売するオーナー、仲介業者などはどのように立ち回ればよいのでしょうか。
次に投資する物件を検討しているのであれば、家賃が高い戸建て賃貸が狙い目です。
戸建て賃貸は家賃が高めでも入居者が現れやすく、資材高騰の現状においては優位になります。
戸建て賃貸は、マンションやアパートと比べて周辺相場よりも家賃が高くても、入居者が決まりやすい傾向にあります。その理由について詳しく見ていきましょう。
アパートやマンションは戸建て賃貸と比べて数が多く、価格競争に巻き込まれやすい傾向にあります。一方、戸建て賃貸は数が少ないため価格競争に巻き込まれにくく、間取りや立地、設備などが主な検討のポイントとなります。
また、騒音が気になる子育て層からも支持を得ており、需要が供給を上回っているのが現状です。そのため、家賃が高めに設定されていても、マンションやアパート、他の戸建て住宅を選ばれるリスクが少なくなっています。
戸建て住宅は、アパートやマンションと比べて立地の影響を受けにくい傾向があります。スーパーや学校などの施設はある方が望ましいですが、駅までの距離についてはそれほど重視されません。戸建て住宅に住む層は車を所有しているケースが多く、駅までの距離よりも間取りや設備、築年数、駐車可能台数などを重視します。
戸建て賃貸に限ったことではありませんが、高すぎる家賃を設定すると入居者は現れません。「検討している他の物件と比較すると家賃が高いが、それでも入居したい」、「家賃に見合った築年数、設備、立地」などと感じてもらえれば、入居されやすくなります。戸建て賃貸の家賃は、次のように設定しましょう。
まずは、戸建て賃貸の周辺相場を確認しましょう。周辺の戸建て賃貸やマンション、アパートなどと比べて家賃が高すぎると入居者は現れません。周辺相場に基づいた基準を調整して、家賃を設定することが大切です。
このとき、条件が似ている物件の家賃を参考にしましょう。例えば、築年数10年と30年では家賃に大きな差が生じます。このようなポイントを押さえずに周辺相場を調べても、正しい家賃設定はできません。
特に戸建て賃貸の場合、近隣に似た条件の物件がない場合が多くあります。
その際は3LDKの賃貸マンションの家賃を参考にしましょう。
戸建て賃貸経営で、何年で元本を回収するのかを踏まえて家賃を設定する方法があります。例えば、2,000万円で取得した物件の利回りを10%に設定した場合の家賃は次のとおりです。
2,000万円×10%÷12ヶ月=166,666円
広島市内人気エリアの戸建て賃貸であれば、これだけ高額な家賃を設定しても入居者は現れるかもしれませんが、郊外ではよほど品質が高い物件でなければ入居者は現れないでしょう。この場合は、利回りを下げるか、建築予算を抑える必要があります。
つまり、物件を取得する前にある程度は家賃設定しておかなければなりません。
賃貸経営において、家賃の設定は最も重要な業務の一つです。実績やデータを基に明確な提案をしてくれるパートナーが必要になります。
戸建て賃貸への入居を検討する人は、新築戸建てのローン返済額と家賃を比較する傾向があります。ローン返済額の方が安い場合、「賃貸物件はずっと家賃を払い続ける必要があるから、それならば新築戸建てを購入しよう」と考えてしまうでしょう。
多少、ローン返済額の方が安くても大きな影響はありませんが、2~3万円も安くなるような家賃設定は避けた方がいいかもしれません。
新築戸建ての購入費用が3,000万円で金利が1%とすると、30年ローンで月々の返済額は約96,000円です。この場合、96,000円よりも安い家賃設定にすれば、入居者は現れやすくなるでしょう。
資材高騰の影響も加味すると、実際にはもう少し高い家賃を設定できるはずです。
戸建て賃貸の家賃を設定する際は、敷金礼金や管理費用も加味する必要があります。戸建て賃貸には共用部が存在しないため、管理費は0円とする場合が多いでしょう。管理費を設定するのであれば、1年間で想定される原状回復費から算出してみてください。
例えば、入居者が1年で退去して、約10万円の原状回復費がかかるとします。その全てがオーナーによる原状回復が必要とすれば、月あたりの費用は約8,333円です。この金額を家賃に上乗せすることを検討しましょう。
ただ、1万円近くも家賃を高く設定すると入居者が現れないリスクが高まるため、礼金で補填することも考えてみてください。礼金を10万円に設定すれば、原状回復費と打ち消すことができます。
家賃を設定する際は、キャッシュフローについても注目が必要です。家賃設定が低ければ、それだけローン返済後に手元に残る金額も少なくなるため、賃貸経営の意義が失われてしまいます。一方、家賃を高く設定したものの空室期間が長くなれば、収益は悪化するでしょう。
このように、賃貸経営の目的を達成するためにもキャッシュフローを加味して家賃を設定することが大切です。また、家賃いくらで赤字になるのか、家賃いくらで何年で元本を回収できるのかなど、あらゆる角度からシミュレーションしておくことをおすすめします。
家賃を高く設定する際は、物件の価値に見合っているかどうか確認が必要です。もし、「価値と見合っていないがこのぐらいの家賃は設定したい」ということであれば、次のように対処しましょう。
物件の設備と家賃が見合っているか確認が必要です。いかにも賃貸住宅仕様のコストが抑えられた設備だと、家賃と価値が見合っていないという印象を与える恐れがあります。特に、キッチンやトイレ、浴室といった生活に欠かせない設備は入居検討中の人が入念にチェックする傾向があるため、優先的に充実化を図りましょう。
ただし、設備の充実化をした結果、先行投資に多くの費用がかかってしまい、利回りが悪くなることも考えられます。そのため、全ての設備のグレードを上げたり、最新の設備を導入したりするのではなく、投資効果が高い設備に絞り込むことが大切です。
中古で購入した物件で賃貸経営をはじめる場合、リフォームで建物の品質を高めることで、家賃を高く設定できるようになります。まずは、取得した物件が自己居住用か賃貸用か確認しましょう。自己居住用に建てた物件は、賃貸用に建てられた物件と比べて住宅性能が優れている傾向があります。そのため、賃貸用に建てられた物件よりも家賃を高く設定しやすいのです。
賃貸用に建てられた物件は、家賃を安く設定せざるを得なくなる可能性があります。そのため、自己居住用か賃貸用かは事前に把握し、住宅性能についても確認が必要です。
住宅性能に懸念点がある場合は、リフォームも検討しましょう。リフォームで住宅性能や耐震性能などを高めることで物件の価値が上がれば、それだけ家賃も高く設定できるようになります。また、築年数が経過している場合は、リノベーションも検討してみてはいかがでしょうか。
リノベーションとは、間取りや冷暖房換気設備の変更などリフォームと比べて大がかりな改修工事のことです。近年では、町家を現代風にリノベーションすることで、一部のファン層から圧倒的な支持を得ている物件も多数登場しています。
世界的に建築資材が高騰している昨今では、新築住宅の取得費用も高くなっています。そのため、今新築を購入するよりも賃貸物件に住んで様子を見ようと考える人も増えているのです。戸建て賃貸住宅は需要が供給を上回っており、周辺相場よりも高めに家賃を設定しても入居者が現れやすいため、資材が高騰している今こそ狙い目です。
まずは、信頼できる土地活用の専門スタッフに賃貸経営について相談してみてはいかがでしょうか。累計500戸以上(令和4年6月時点)の戸建て賃貸の施工実績を有する日興トラストには土地活用の専門スタッフが在籍しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
株式会社日興トラスト 不動産・土地有活営業部 東広島営業所 吉川 隼人です。
主に呉地域を担当させて頂いております。
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